My Dearest

My Dearest

久しぶりにあの人と話をしてみました・・・

穏やかなあの人

ここのところ、ちょっとバタバタと忙しくて、しばらくあの人とお話ができていませんでした。

その人とは・・・

僕の家の祖先に苦しめられ・・・裏切られ・・・自分の愛する人と子供から引き離されたあの人です。

本来であれば陰陽師が必要なレベルの怨念を抱えていた人・・・

彼女は僕と大切な人の間を引き裂くだけでなく、僕の家全てを絶望へと追いやるつもりでした。

自分が大切にしていたものを全て奪われ、自分と同じ苦しみを僕たちに味わせるために、次元は違えど同じ場所にとどまっていたあの人・・・

顔は怨念にまみれ、鬼の形相となり、対話をしようとするだけでこちらの脚に「死」の冷たさが伝わってきた人・・・

1ヶ月の間・・・僕が対話を重ねた彼女は・・・

本当に穏やかな・・・優しい表情に変わっていました。

伝わってくる感触は柔らかで・・・暖かくて・・・それでいて強い女性らしい凛としたものに変わっていました。

尋ねてみました。

「今のあなたの気分はどうですか・・・?」

「幸せです」

「どうしてですか・・・?」

「もうすぐ、あの人と会えるからです」

およそ100年前の昭和初期・・・愛し合っていたのに僕の家の勝手な事情で振り回され、引き離された・・・大切な人を奪われた・・・

ずっと、ずっと・・・時間のない世界の中で、悔しさと怨念に取り憑かれ、自分の激しい感情に振り回されていた彼女は、一番大切な人への気持ちを心の片隅へと追いやっていました。

それは、その気持ちを見てしまうと自分が崩れてしまうから・・・そんな状況で彼女が自分を保つ手段は「復讐」しかなかったのです。

でも・・・そんな彼女の心には再び暖かい愛が灯っていました。

ずっと同じ気持ちを抱えたままひとつの場所にとどまっていた・・・そこにあったのは黒い炎で自分を燃やし尽くす復讐しかなかった・・・

でも、今、彼女は再び最愛の人にもう少しで会える喜びにあふれ、そこには希望の光が見えていたのです。

あの世界には全てがあります・・・いや、あの世界ではなくても私たちには全てがあります。

でも、私たちはそれに気づいていないだけなのです。

復讐に燃えていた彼女は本当は幸せは目の前にある・・・そこに手を伸ばすだけだったのに、目を背けていたのです・・・

今、彼女は愛の方へと自分を向ける・・・その喜びを感じ始めていました。

どんどん心の浄化が進み、軽くなっていく彼女・・・

最愛の人と会う準備はどんどん整ってきています・・・

本当は人の思いに距離はなく、人の思いが届く距離に限界はありません。

思いを開けば思いは届く・・・

目の前の世界にごまかされている限りはそれは見えてこない・・・

目の前の世界からすっと身を引いて、自分の心の奥へと沈み込み、そこで人と繋がるとき・・・

そこには全て分かり合える世界があります。

ほんの1ヶ月前まで僕に敵意の牙を剥いていた彼女は、僕が進む道を暖かく、優しく照らしてくれる存在に変わっていました。